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限外ろ過フィルターを用いた無血清培養からの
エクソソーム精製法 具体的なプロトコルも掲載!

超遠心や薬剤処理不要!

エクソソーム精製法概要エンドソームから形成されるエクソソーム(Exosome)は、細胞膜および細胞質成分から構成され、おおむね30~100 nmの範囲の直径を持つ細胞外構造体です。その機能は、当初考えられていた単なる老廃物排出機構ではなく、細胞間コミュニケーション機構である事が明らかになってきています。エクソソームはmRNAやmiRNA等のRNA、タンパク質、脂質などを含み、ある細胞から別の細胞にそれらの成分を運搬できる構造体だからです。近年は特にがんの免疫抑制効果、転移等との関連が示唆されていますが、その他様々な疾患バイオマーカーを含んでいる可能性もあり、疾患の予想や診断への応用が研究されています。
一般的なエクソソームの精製には超遠心を使用する手法や薬剤を使用する方法が存在します。いずれも手間やコストを要する上、現時点ではそれらの処理を経た後のエクソソームの変性に関する十分な知見が利用できないという課題も存在します。そこでメルクは、無血清培上清から、超遠心や特別な薬剤を使用せず、ろ過技術のみでエクソソームを精製する新規手法を開発しました。本手法は精製エクソソームサンプルへのアルブミン分画の混入が無視できる場合にはFBS等の血清を含有する培養上清にも適用可能です。ただし、血清は一般的にエクソソームも含有していることにご留意ください。なお、本プロトコルにより、エクソソームを主要構成成分とする~120 nmの微小胞(Microvesicles)が濃縮されるとともに、500 nm程度までのサイズの微小胞も同時に回収されます。


プロトコル

限外ろ過によるエクソソーム精製プロトコル1. Stericup-GPまたはSteriflip-GPで培養上清サンプルを清澄化する。
2. 公称分画分子量10 kDaのAmicon Ultraを、孔径0.1 μmのフィルター(Stericup-VP)でろ過されたPBSバッファーで平衡化する(遠心条件は4,000×gで5 分間)。
※ 初回の実験ではAmicon Ultra-15(カタログ番号UFC901024)の使用を推奨します。
3. フィルターカップと回収チューブからPBS を取り除く。
4. Amicon Ultraに規定量のサンプル(Amicon Ultra-15では15 mL)を添加する。
5. 4,000×gで30分間遠心する。
※ サンプルにより差はありますが、Amicon Ultra-15 の場合、この段階でおおよそ30 倍にサンプルが濃縮されます。
6. 回収チューブのろ液を取り除く。
7. フィルターカップに孔径0.1 μmのフィルターでろ過されたPBSを添加する。
※ Amicon Ultra-15の場合は14 mL、その他のデバイスの場合は残液量と加えるPBS量の和が最大サンプル量を超えないように適宜調整してください。
8. 穏やかに数回ピペッティングした後、4,000×gで30分間遠心する。
9. フィルターカップ上の残液を回収する。
※ この時点で、バッファーがPBSに置換されたエクソソームがフィルターカップに調製されています。



限外ろ過によるエクソソーム精製の他法との比較
A:限外ろ過によるエクソソーム精製の他法との比較
Bodipy® FL Dye(Life Technologies)により蛍光ラベルしたエクソソームをサンプルとして精製プロセスにおける損失を定量した。限外ろ過によるエクソソーム精製(UF)は、超遠心法(UC)と遜色なく、沈殿法(PPT)よりも高い回収率を示した。
Starting Loadは初期サンプル、Neg. Controlはバッファーと色素のみのサンプル。

 B:限外ろ過によるエクソソーム精製回収率の他法との比較
CD63ビーズによりトラップしたサンプル中エクソソームをCD9-Alexa647によって定量した。限外ろ過によるエクソソーム精製(UF)は、超遠心法(UC)と遜色なく、沈殿法(PPT)よりも高い回収率を示した。
Starting Loadは初期サンプル、Neg. Controlはバッファーと色素のみのサンプル。

 


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