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ZIC®-HILIC Q&A

Q1: どのカラムから使い始めたらよいでしょうか?

内径4.6mmのカラムが流速およそ毎分0.5-3mL/minの分析に適します。一方内径2.1mmのカラムはよりHILIC-MSに適しています。カラムの長さの適性についてはアプリケーションにより異なります。

適性が不明確な場合、長さ150 mmの5µm粒子充填型カラムが良いでしょう。(例 1.50455.0001) 迅速で単純な分離は短いカラムが適しています。(例 カラム長50 mm, 注文番号: 1.50451.0001) 一方、より複雑な分離は長いカラムで確実な分離が得られます。(例 カラム長250 mm, 注文番号: 1.50458.0001)

Q2: 4.6、2.1、1.0mm内径それぞれのZIC®-HILICカラム適した流速は?

最も効率的な分離が得られた流速は、
4.6 mm内径カラム: 0.5mL/分
2.1 mm内径カラム: 0.1mL/分
1.0 mm内径カラム: 0.02mL/分

これらすべてのカラムは、低高両方の流速に対応できます。
たとえば、内径2.1mmのカラムでは流速0.1mL/分で最良の結果が得られました。流速を0.5mm/分に増やすと、分離効率が20%低下します。しかし分離が十分であれば、時間を節約できます。
他の内径のカラムにも同じことが言えます。

Q3: ZIC®-HILICの官能基は何ですか。

スルホベタイン基です。

Q5: ZIC®-HILICをICP-MSに使用したいのですが、移動相に多く含まれる有機物の影響が気がかりです。 アセトニトリルに代わる移動相はありますか?

ジオキサンのような高沸点溶媒を移動相に使用することで、問題は解決するかもしれません。しかし最終的には分析対象物質やアプリケーションによります。。

Q6: ZIC®-HILIC と HILICシリカカラムの違いは?

ZIC®-HILICカラムはシリカゲルに双性イオン型官能基を化学結合した充填剤を使用しており、HILICシリカカラムは一般的に未修飾のゲルが充填剤として使用されています。 ZIC®-HILIC固定相は安定した水和層を形成し、表面に多くの水分を保持します。 この特徴によりアイソクラティック、グラジエント両方での分離が確実となり、水性サンプルの注入が(注入量が多すぎない限り)可能になります。 また、カラムの寿命が長いことも特徴の一つです。

HILICシリカカラムには順相クロマトクラフィーに順ずる問題があります。吸着の影響、いくつかの化合物においてのピークバンドの広がりや、平衡化が遅いことなどです。 移動相中の水分含有量の変化には更に影響を受けます。反応が遅くなるため、グラジエント分析が難しくなります。

通常のシリカカラムはHILICのアプリケーションにも使用できますが、製品寿命が短い、という報告もあります。

Q7: ZIC®-HILICカラムに適したpHの値は?

ZIC®-HILICの双性イオン型官能基は、電荷を保ちながらpHに依存せず、全体では中性で親水性の状態を保っています。
この特徴が独自の選択性を可能にしています。移動相のpHが試料の解離と保持を適切に行わせる助けとなるからです。 シリカベースのZIC®-HILICカラムはpH2-8の移動相に、 またZIC®-pHILICポリマーカラムはpH 2-10の移動相にご使用いただけます。

逆に、通常のシリカカラムはpHが4以上になった場合、カチオン交換体として作用します。OH官能基が表面に負のシラノール基を形成するからです。
これにより塩基性化合物はカラムにより強く結合し、溶出するためには多くのバッファーが必要になります。これはMS検出には不都合です。

Q8: ZIC®-HILICの適用pH範囲、最大背圧、最高温度、細孔径、表面積および炭素量を教えてください。

炭素量は逆相カラムでは関係しますが、HILICには関係しません。 他のパラメーターは、以下のとおりです。
ZIC®-HILIC
pH範囲 (2-8)
最大背圧; 400bar
最高温度; 70 °C
細孔径; 200 Å、100 Å
表面積; 130 m2/g、170 m2/g
ZIC®-pHILIC
pH範囲 (2-10)
最大背圧; 200bar
最高温度; 60 °C
細孔径; N/A
表面積; N/A
 

Q9: ZIC®-HILICカラムはどの程度の疎水性試料に対応できるのでしょうか。
(私は当初、ZIC®-HILICは高極性の水溶性化合物のみに適しているのだと考えていました。)

HILICは適応範囲の広い分離技術です。逆相カラムではほとんど、もしくはまったく保持しない化合物や、イオンペア試薬を必要とする溶質にも対応できます。
つまり、高極性かつ水溶性の化合物のみに適しているわけではありません。

大まかな目安のひとつは、logP値に基づくものです。溶質のlogP値が-0.5未満の場合、HILICに適した化合物と考えられます。
溶質のpHを操作することで化合物の電離状態を変えられるため、logP値も変化します。
荷電した化合物は通常、中性の状態と比べlogP値が低くなります。

独自に実用的な極性指標を作成し、カフェインをモデル化合物として試料の極性・非極性を定めているユーザーもいます。 カフェインと比較しHILICにより良く保持し、RPLCでの保持が弱い化合物は、極性が高いと考えられます。

Q10: 酸や塩基はRPLCと同様、問題点となりますか?

酸や塩基には多様なアプリケーションがあります。 アイソクラティック、もしくはグラジエント分離には通常、アセトニトリルと水(バッファー)の混合液が使用されます。なぜならアセトニトリルはHILICでは最も弱性の溶液だからです。ですが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ジオキサンなども頻繁に用いられます。

有機緩衝剤(酢酸アンモニウムなど)は有機溶媒への溶解度が高いため、好んで用いられます。
無機緩衝塩は容易に沈殿してしまうため、使用しないでください。
ただし移動相の有機溶媒濃度がおおよそもしくは70 %(v/v)未満の場合には、低イオン強度の無機塩を用いることができます。

Q11: バイオ分析に、トリフルオロ酢酸をHILIC移動相の添加剤として使用できますか?

一般に、トリフルオロ酢酸はHILICには不適です。トリフルオロ酢酸はイオンペア剤として作用し、溶液の親水性を失わせるからです。 通常、トリフルオロ酢酸はタンパク質の酸性沈殿に用いられます。しかし、サンプルの希釈割合に関わらず、高濃度のアセトニトリルを使用するのが良いでしょう。 タンパク質(血漿)サンプルを酸性(ギ酸)アセトニトリルにて1対4の割合で希釈することをお勧めします。 オービタルシェーカーで混ぜ合わせるとほとんどのタンパク質は沈殿し、高速遠心分離(>5000 rpm)で除去されます。

次に、ZIC®-HILICカラムはあらゆるイオンを保持するはずです。(他のHILICカラムも同様)
ZIC®-HILICの特筆すべき特長は、塩化ナトリウムのような塩類も分離可能で、ナトリウムイオンと塩素イオンが保持時間を異にして溶出することです。
つまり、ナトリウムイオンは時にMSシグナルに抑制を与える試料と共に溶出します。
サンプルマトリックスにのみ塩類が含まれるならば、移動相のアセトニトリルを1から2%多くもしくは少なくし、わずかに調整することをお勧めします。
通常、ナトリウムイオンは異なる保持時間で溶出し問題は解決します。(さらに最適化が必要な場合もあります。)

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