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プレスリリース
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「超純水製造装置 Milli-Q® Gradient」が「液体クロマトグラフィー科学遺産」に認定されました

ニュースリリース
2021年10月25日

液体クロマトグラフィー科学遺産

「液体クロマトグラフィー科学遺産」は、(公社)日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会が行っている認定制度です。
「日本における液体クロマトグラフィーの発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す」と定義されています。


1996年に上市されたMilli-Q® Gradientが、下記に示す新技術、新機能により「液体クロマトグラフィー科学遺産」に認定されました。

超純水製造装置Milli-Q<sup>®</sup> Gradient

超純水製造装置
Milli-Q® Gradient

超純水装置Milli-Q® Gradientの上市までは、超純水の水質管理には無機イオン量を測定する比抵抗計が主に使用されており、HPLC等に使用する水質の良否の確認には、超純水製造装置では判断出来なかった為、HPLCクロマトグラムを測定し、不純物ピークの有無を確認する必要が有りました。また、一部の超純水製造装置では、有機物量のモニターに全有機炭素(total organic carbon, TOC)を利用する方式もありましたが、分解能はおよそ5 ppbで精度も低く、超純水のHPLCへの適用可否の判断をする為には不十分でした。
Milli-Q® Gradientは、紫外線酸化導電率検出方式TOC計を搭載し、このTOC計による測定値は、従来の燃焼触媒酸化方式TOC計等との値とよく一致し、感度は1 ppbで精度も高く画期的な性能でした。Milli-Q® Gradientの一つ前のモデルのMilli-Q® SP TOCには、簡易的にTOCをモニターする機能が付与されていましたが、予測式で精度も高くありませんでした。Milli-Q® GradientではTOC測定を予測式から、TOC計の搭載に変更する事で水質管理機能を大きく飛躍させました。
更に、Milli-Q® GradientのTOC計はGxP管理下で要求されるキャリブレーションにも対応可能であり、精度管理の向上にも寄与しました。
この様な特性を有するMilli-Q® Gradientには、HPLC試験に依らずとも、採水時に超純水の水質が確認出来る利点が有り、多くのHPLCユーザーに信頼性と利便性を提供する製品として大いに歓迎されました。
事実、2002年時点でのメルク株式会社の超純水製造装置のマーケットシェアは77.4%(科学機器年鑑2004年版、アールアンドディ社)であり、Milli-Q® GradientがHPLC分析を中心に試験研究分野で広く使用された事を物語っています。

Milli-Q® Gradientは、1996年の販売開始以来、モデルチェンジを一度経て、2006年に後継モデルであるMilli-Q® Advantageが上市される迄、約10年間に渡り使用されており、現在販売されている超純水製造装置の雛形と位置付けられる製品です。これらの先駆的な機能を有した超純水製造装置Milli-Q® Gradientは、日本も含め世界の実験科学全般の発展に多大な貢献を果たした事は歴然とした事実であるとして、その歴史的な価値は液体クロマトグラフィー科学遺産に値するものと認定されました。

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