Milli-SAT インタビュー
宮野医療器株式会社小林 祥二 氏
Milli-SAT歴:13年
拠点:兵庫県
好きな食べ物:こだわりはなく、何でも食べます
趣味:ドライブ
好きな装置とその理由:Milli-Q Integral:経験が長く隅から隅までよく把握しているから
原因を探るためには理論的なアプローチで
ちょうどメルクがMilli-SAT認定技術員を増やすという時期で各販売店に働きかけていたことから、正直なところ自分の意志ではなく会社からの指示で資格を取得しました。以来、Milli-SAT認定技術員として多くの経験を積んできました。弊社では現在私を含め3名のMilli-SAT認定技術員が活動しています。最近の私の仕事の中では、装置の設置・修理・メンテナンスなどのMilli-SAT認定技術員としての作業が7割くらいを占めており、その他に他社の分析装置を取り扱っています。純水製造装置と分析装置ではジャンルが違います。つまりMilli-Qは分析するためのベースとなる水を製造するものですし、一方はその水を使って分析をするわけですから、メーカーの考え方や装置の作り、設計思想が異なります。そのため、他メーカーの仕事をする際には、考え方を少し切り替える必要があります
ちなみに私は工学部出身ですが、大学時代に学んだことが直接的に仕事に関係しているわけではありません。ただ、理系の論理的な考え方は役立っているのではないかと思います。装置の修理に関しては、「こんな現象は前にもあったな。そのときはここがおかしかったな」というように経験則で結構できます。それが早道のこともありますが、落とし穴も多いです。実際の現象からその原因を探っていくためには、論理的に起こり得ることを推測していくため、時間がかかりますが、そういうアプローチが本筋だろうと思っています。
お客様の要求に応じた作業を提供
Milli-SAT認定技術員として、とにかく現場ではお客様の要求に応えられるように努めています。お客様の希望はさまざまで、たとえば「点検を早く終わらせて帰ってほしい」と言われれば、速やかに作業を終了するようにしますし、お客様がいろいろな質問をしたいとうい場合には一つ一つ丁寧にお答えするようにしています。
Milli-Q は他メーカーの装置に比べ、水質維持は群を抜いているのではないかと考えています。お客様からもMilli-Qは水質が良いということでご納得いただけていると思います。ですから装置の買い換え時に、他の選択肢を選ばれることはあまりないようです。ただ、中には予算の関係から消耗品費用の捻出が難しいと言われるお客様もいらっしゃいます。その際も消耗品を交換しないことで生じる可能性があるトラブルを具体的に説明してご理解をいただくようにしています。たとえば大学の研究室で消耗品はできる限り長く使いたいと言われたことがあり、実際に1つのカートリッジをかなり長期間使用したことによって水質にムラが生じたという例があったのですが、そういった実例を他のお客様に紹介することにしています。これも長年Milli-Qを取り扱ってきた経験があるからできることだと思います。少しでもお客様に消耗品交換の重要性についてご理解いただければと考えていますが、お客様にも予算などがありますから、どこまでご理解いただけているか不透明な部分もあります。
少なくとも週に1回程度は超純水装置の稼働を
Milli-SAT認定技術員として、お客様に気を付けていただきたい点としては、納入後にお客様の状況が変わってしまい、超純水装置を使われないことがあった場合にも、そのまま放置しないでいただきたいということですかね。長い間使用していないと水質が維持できませんので、「せめて週に1回くらいは装置を稼働させて、できた超純水を捨ててください」とお伝えしています。たとえば納入時は週に100Lのタンクをフル回転で使用するという予定であったものが、週に20Lしか使わなくなってしまった場合も、装置自体はタンク満水状態になっているので止まってしまって、フラッシングがかかるだけになります。つまりEDI(連続イオン交換.)モジュールの方に電流が流れないため水質の上りが遅くなってしまうわけです。そういう状況が半年くらい続くと、超純水装置の正常稼働はちょっと厳しくなると思います。
それからMilli-SAT認定技術員のみなさんが思っていると思うのですが…お客様のところで装置を設置しているスペースが狭すぎて、体はもちろんのこと、手さえ入らないこともあります。そうすると装置を外に引き出さなければ、装置の内容を細かく見ることができません。装置を引っ張り出すためには配管や配線をすべて外さなければいけませんが、配管や配線を外してしまうと装置を稼働させることができないというジレンマがあります。お客様はスペースの有効活用をされているわけですし、弊社の営業担当者もそれに伴って狭い場所に上手く納まるように提案しているのですが、修理やメンテナンスの作業は大変になってしまいます。お客様がご自身で消耗品の交換をする場合にも相当苦労されますし、できないと言われる方のほうが多いです。できれば設置スペースはメンテナンスのことまで考えていただけけると有り難いですね。もちろん装置がきれいに納まっていると、見た目的には美しいですが…。
コロナ禍で加速するデジタル化
以前は研修などもしばしばあり、研修では多くの情報を得ることができ、その情報はMilli-SAT認定技術員としての作業に直結していました。研修ではメルクの担当者と話す機会も多かったですが、コロナ禍のため最近では実際にお会いする機会は少なくなり、電話とメールが中心となっています。それでも現場同行の際には、いろいろなお話をさせていただいています。
幸いコロナ禍でも私自身の仕事については、会議や出張が少なくなったくらいで、修理やメンテナンスのための訪問を拒否されることもありませんから、ほとんど変わっていないように思います。ただ、訪問の何日か前までにアポイントをとって、訪問日まで体温を測定するように指示されることは結構ありますし、訪問時に体温もきちんと測定されます。
コロナ禍の影響として一つあげるとすれば、やはりデジタル化ですかね。以前から弊社もデジタル化を推進しており、ファイルを共有してそこに入力することになっていますが、コロナ禍でデジタル化は一気に加速している感じです。最近は新製品が出たときも自身で勉強しなければいけない状況となっているのですが、さまざまなものがデジタル化されていて、そのツールがしばしば変わってしまうので覚えるのがなかなか大変です。しかもお客様への取り扱い説明書も含め、説明書類は紙ベースではなくなり、すべてPDF化されているため、慣れるまで少し苦労しましたね。
今後もMilli-SAT認定技術員の名に恥じぬように
メルクから受け取ったお客様アンケートの結果は、内容を検討して次につなげるようにしています。アンケートに回答していただいているお客様は、私が長年お付き合いしていただいている方が多いですから、かなり私に気を使っていただいて書いて下っているのではないかと思っています。このアンケートはMilli-SAT認定技術員のサービスについて記載していただくようになっていますが、中には営業担当者についての注文や意見が書いてあることもあります(笑)。
今後もMilli-SAT認定技術員の名に恥じぬように、頑張って全国のMilli-SAT認定技術員のみなさんについていきたいと思っています。そして、常にお客様のニーズにお応えして、丁寧に作業をさせていただきたいと考えています。よろしくお願いします。