浅井 克仁 氏浅井 克仁 氏

株式会社遺伝子治療研究所 代表取締役社長 

遺伝子治療用AAVベクター製造の大量製造方法開発と品質管理戦略

発表要旨

当社では遺伝子治療用ベクターの開発を行っているが、ベクター製造における最近のトレンドは、「大量製造方法の開発」が中心といっても過言ではない。AAVによる遺伝子治療及びその周辺技術開発を行う米国バイオ企業のM&Aは活発であるが、対象となるのはいずれもこの課題をクリアした企業(AveXis、Spark、Audentes等)であり、また同じくこれらのノウハウを保有するCDMO(Brammer、Paragon等)にほぼ限定される。製薬大手はかかるノウハウを入手するためにUSD billionsを支払うのである。
もう一つのトレンドは、「QbDによる品質管理戦略」であり、この品質管理戦略の導入は極めて重要である。バイオプロセスにおけるベクター製造は、収量においても品質においても非常に不安定で、いかに高性能のセルバンクシステムを構築するのか、工程管理をどのように行うか、それぞれの解決には多因子多変数実験に基づく検討が必要である。バイオプロセスにQbDアプローチをDoE(実験計画法)によりいかに効率的に導入できるかが、カギを握るものと考える。
これらに対する当社の取り組みを簡単にご紹介する。

プロフィール

1984年三菱銀行入行、1994年仏INSEADにてMBA取得、2000年に投資ファンドを共同で設立、2004年からフットワークエクスプレス社社長として事業再生に従事、2011年エバーライフ社社長、等を経て2014年に村松・佐藤等と遺伝子治療研究所を設立
日本遺伝子細胞治療学会(JSGCT)、米国遺伝子細胞治療学会(ASGCT)、日本再生医療学会(JSRM)、国際幹細胞研究学会(ISSCR)、学会員