今西 典昭 氏今西 典昭 氏

国立研究開発法人 国立循環器病研究センター

国内外における遺伝子治療ウイルスベクター製造の現状と諸課題

発表要旨

遺伝子治療は、外部から遺伝子を導入することにより様々な疾患に対する治療となりうるもので、高い奏効率が期待され相次いで実用化されてきている。組換えウイルスベクターは遺伝子のデリバリーのための強力なツールであるが、臨床開発と商業化のための製造プロセス開発には多くの課題がある。又、急激な研究開発の増加、その非効率的な製造プロセスのため、主要な製造施設における利用可能なスロットが限られたものともなっている。規制当局は、遺伝子治療製品研究開発のため安全性と有効性を確保のため新しい規制とガイドラインを発行してきており、例えば2020年1月に最終化されたFDAガイダンスのCMCに関するものでは、企業によりブラックボックス化された内容の輪郭を知ることができる。しかし当該技術群はまだ完成されたものではなく、規制当局はより多くの患者にとって安全で効果的な製品を実現するためのイノベーションをも求めている。
欧米における遺伝子治療ウイルスベクター製造プロセスと CMC開発の現状について紹介し、日本の遺伝子治療分野育成に向けた課題を紹介したい。

プロフィール

1979年-1987年: 京都大学薬学部、大学院博士課程 衛生化学
1988年-2014年: 製薬企業― 薬理研究、医薬品グローバル開発、事業開発
1994年-1996年: Cornell大学(Cancer biology)
2015 年~2020年5月: 日本医療研究開発機構(AMED) 難病研究課・疾患基礎研究課
 2015 年~2020年5月: 未診断疾患イニチアチブ IRUDタスクフォースメンバー
 2016 年~2020年5月: 国際希少疾患研究コンソーシアム IRDiRC事務局
 2017 年~2020年5月: AMED プログラムオフィサー
2020年6月~(現在): 国立循環器病研究センター 研究振興部・研究推進支援部 非常勤研究員
2020年6月~(現在): AMED科学技術調査員