2018年7月26日、ドイツ、ダルムシュタット発— サイエンスとテクノロジーの分野における世界有数の企業であるMerck(以下メルク)とInnoCore Pharmaceuticals(オランダ/フローニンゲン)は、InnoCoreが特許を持つSynBiosys®生物分解性ポリマーのプラットフォームを提供するために、グローバルな協力協定を結びました。このドラッグデリバリープラットフォームは、注射剤に使用する生物製剤の徐放性溶液の開発に利用することが可能です。
メルクのライフサイエンス部門でプロセス溶液の責任者を務めるアンドリュー・ブリピンは次のように述べています。「現在まで、タンパク質や高分子のペプチドなどの大型の生物学的医薬品有効成分を長時間作用型の徐放性製剤に適用することは、不可能でないとしても困難でした。」 「この協力協定により、長時間作用型の徐放性タンパク質治療薬が販売され、生活を変える可能性がある新しい治療が可能になるでしょう。また、服薬頻度が減り、治療レベルの薬剤を長時間維持できることから患者のコンプライアンスも向上します。」
徐放性製剤は、患者のアドヒアランスを向上することから、製剤における役割はますます重要になっています。InnoCore Pharmaceuticalsが開発し特許を所有する新しいテクノロジーにより、こうしたセンシティブで複雑な構造をもつ分子の生物学的活性が維持された徐放性注射剤の開発が可能です。SynBiosysのプラットフォームは、皮下、筋肉内および部位特異的な注射剤として、ミクロ微粒子およびインプラントとして使用できます。
メルクとInnoCoreは、このテクノロジーを利用することで徐放性注射剤を開発し、特に高分子のペプチドやタンパク質など、製剤開発の課題を克服することで、製剤、プロセス開発および製造業務において顧客をサポートします。高分子のバイオ医薬品製剤を使用するこの新しい処方設計とドラッグデリバリー技術は、メルクの既存のポートフォリオである徐放性の液剤/非経口製剤に使用されている生物分解性のポリ乳酸とポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLA/PLGA)ポリマーを補完します。PLA/PLGAのテクノロジーは主に低分子、分子量の小さいホルモンやペプチドに応用されます。
慢性疾患の治療におけるコンプライアンスの低さは重大な問題です。アメリカ国立衛生研究所の国立医学図書館が2018年1月に発表した論文によると、ノンコンプライアンスのコストはアメリカ合衆国だけでも年間1000億ドル~2900億ドルと推定されます。
InnoCore PharmaceuticalsのCEOであるヤン・ヘンドリクスは次のように述べています。「世界的なライフサイエンス業界に製剤の課題解決の提供していることで広く認知されている企業のメルクとこのような重要な提携を結べたことを光栄に思います。」
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メルクについて
Merck(メルク)はヘルスケア、ライフサイエンス、パフォーマンスマテリアルズの分野における世界有数のサイエンスとテクノロジー企業です。がんや多発性硬化症のためのバイオ医薬品を用いた治療法から、科学研究と生産に関する最先端システム、スマートフォンや液晶テレビ向けの液晶材料にいたるまで、約53,000人の従業員が人々の暮らしをより良くする技術の一層の進歩を目指しています。2017年は66カ国で153億ユーロの売上高を計上しました。
メルクは1668年に創業された世界で最も歴史の長い医薬・化学品会社で、 創業家が今でも、上場企業が率いるメルクグループの株式の過半数を所有しています。メルクの名称およびブランドのグローバルな権利は、メルクが保有しています。唯一の例外は米国とカナダで、両国ではEMDセローノ、ミリポアシグマ、EMDパフォーマンスマテリアルズとして事業を行っています。