メルク、徐放性注射剤用ポリマーを加えることで添加剤製品群を拡大

• 放出動態のより正確なコントロールが可能
• 患者の快適さおよびコンプライアンス向上のため、注射の回数が少なくて済む薬剤の開発を実現

2016年7月12日、ドイツ、ダルムシュタット発－サイエンスとテクノロジーの分野における世界有数の企 業である Merck（以下メルク）は、同社の添加剤製品群を拡大するため、 PCAS S.A.（フランス・ロンジュモー）と契約を締結しました。メルクはこの契約の下、生体適合性および生分解性ポリマーExpansorb®の世界的な独占販売店となります。

この製品群には、低分子および選択されたペプチドの注射剤を徐放化する38種類のポリマーが含まれており、顧客の最終製剤において放出動態を最適化し、正確にコントロールすることを可能にします。薬物放出を正確にコントロールし徐放化することができるため、同じ治療効果を持ちながら注射回数を少なくすることが可能で、患者の快適さとコンプライアンスが改善されます。

メルクのライフサイエンス・ビジネス、プロセスソリューション部門のヘッドであるアンドリュー・バルピンは、次のように述べています。「医薬品業界では、注射で送達される低分子および選択されたペプチドの放出をコントロールすることにますます関心が高まっています。当社の幅広い添加剤製品群にExpansorb®ポリマーが加わることで、お客様の薬剤開発において生体内半減期の短い分子を保護し、患者さんの快適さとコンプライアンスを高めながら望ましい治療効果を達成することができるようになります。」 

ポリ乳酸（PLA）および乳酸・グリコール酸共重合体（PLGA）ポリマーは、FDA（米国食品医薬品局）およびEMA（欧州医薬品庁）が承認している生体適合性および生分解性合成物質で、すでにいくつかの医薬品が市場に出ており、さらに多くの医薬品が臨床開発中です。

Expansorb® PLAおよびPLGAポリマーは、PCASがcGMP環境下で製造を行い、厳格な評価と認証が完了した時点で、業界をリードするメルクのEmprove®プログラムの下で販売される予定です。医薬品製造業界は、リスク評価のワークフローおよび供給業者の適格性評価において、文書作成および規制情報をEmprove®製品に依拠しています。

PCASのカスタム合成およびファーマケミカル部門トップであるディディエ・コンビスは、次のように述べています。「PCASは、メルクに当社のExpansorb®ポリマーを供給することで、ともに医薬品業界の顧客に対する大きな価値創生の可能性を提供できることを大変喜んでいます。メルクの世界的ネットワークを通じてこのパワフルな技術へのアクセスを拡大し、患者さんのために改善された治療ソリューションの開発を促進することを可能にする、重要なコラボレーションです。」

PLGAポリマーに基づくナノスフェアおよびマイクロスフェア製剤については、ペプチド、タンパク質、ホルモンおよび抗生物質の送達に用いるために、広く研究が行なわれてきました。将来的な応用では、部位特異的リガンドを用いた薬物含有ナノ粒子による標的治療の開発が期待されています。

PCASについて（ユーロネクスト・パリ：PCA）
PCASは、生命科学および革新的技術のための複合分子の開発と製造を専門に行っています。総売上高の7%を研究開発および国際的な存在感の拡大に割り当てているPCASは、市場をリードする主要な世界的グループにとって優れた産業パートナーです。同社は最先端分野に提供する自社の製品とソリューションを進化させており、バイオテクノロジー分野ではProtéus、高性能断熱材ではEnersensという非常に大きな可能性を持つ2つの子会社を有しています。PCASは業績基準が特段に高く、2015年に1億7910万ユーロの売上高を達成し、6ヶ国に900名以上の社員を抱えています。

PCASに関する詳細な情報については、www.pcas.comをご覧ください。

メルクについて
Merck（メルク）はヘルスケア、ライフサイエンス、パフォーマンスマテリアルズの分野における世界有数のサイエンスとテクノロジー企業です。がんや多発性硬化症を治療するためのバイオ医薬品療法から、科学研究と生産に関する最先端システム、スマートフォンや液晶テレビ向けの液晶材料にいたるまで、約5万人の従業員が人々の暮らしをより良くする技術の一層の進歩を目指しています。2015年は66カ国で128億ユーロの売上高を計上しました。

メルクは1668年に創業された世界で最も歴史の長い医薬・化学品会社で、 創業家が今でも、上場企業が率いるメルクグループの株式の過半数を所有しています。メルクの名称およびブランドのグローバルな権利は、ドイツのダルムシュタットに本社を置くメルクが保有しています。唯一の例外は米国とカナダで、両国ではEMDセローノ、ミリポアシグマ、EMDパフォーマンスマテリアルズとして事業を行っています。