メルク株式会社(本社東京、会長兼社長ラルフ・アナセンツ)の親会社Merck(本社ドイツ・ダルムシュタット、会長カール-ルドウィッグ・クライ)のライフサイエンス部門メルクミリポア事業部(以下、メルクミリポア)は、同社の経皮拡散試験モデル「Strat-M」合成メンブレンが、in vitro経皮拡散試験における化合物の皮膚透過性について、ヒトあるいは動物の皮膚と同等に効果的な予測ができることを示した研究結果が発表されたことをお知らせいたします。この研究は、城西大学の研究者によって行われたもので、『European Journal of Pharmaceutical Sciences』2015年1月25日号で論文が発表されました。
Strat-Mメンブレンは、非動物由来の合成品で、医薬品有効成分、化粧品活性成分、パーソナルケア製品、農薬、その他の化学物質など、さまざまな化合物や製剤のヒト皮膚における拡散を予測することが可能です。Strat-Mメンブレンは極めて均一性が高く、再現可能な拡散データを提供することができ、生体モデルでたびたび生じるようなロット間のばらつきもありません。
城西大学によるこの新たな研究では、さまざまな化合物の皮膚透過性を推定する際に、Strat-Mメンブレンがヒトおよび動物の皮膚の代替品として機能するかどうかの評価が行われました。13種類の化合物について、ヒト摘出皮膚、無毛ラット皮膚およびStrat-Mメンブレンを用いて試験を実施したところ、Strat-Mメンブレンで得られた透過係数は、ヒトおよびラットの皮膚で得られる透過係数の予測に使用できることが明らかとなりました。
この論文の著者であり、皮膚透過に関する第一人者である城西大学薬学部教授の杉林堅次博士は、「in vitro皮膚透過性試験は、新たな経皮送達システムの開発に不可欠です。皮膚透過性試験では生体モデルが頻繁に使用されますが、生体モデルにはロット間のばらつき、入手のしにくさ、安全上の懸念、保管の制約など、さまざまな難点があります」と述べています。さらに、論文の共著者である城西大学の藤堂浩明博士は、「我々の研究によって、Strat-Mメンブレンが、透過性試験において、ヒトおよび動物の皮膚の代替品として機能することが実証されました。研究者にとって、候補化合物のスクリーニング用の貴重なツールとなります」とコメントしています。
メルクミリポアのバイオサイエンス事業部責任者であるパトリック・シュナイダー博士は、「杉林博士と藤堂博士による論文は論文審査で同分野の専門家に検証もされており、Strat-Mメンブレンが経皮拡散試験に使用できることが立証されたといえます。研究結果は、同製品の有用性を裏付けており、研究者による認識が高まることで採用が加速し、経皮製剤のin vitro試験が促進されると考えられます」とコメントしています。
Strat-Mメンブレンは、2012年に提供が開始された経皮拡散試験モデルで、ヒトの皮膚と同様に複数層で構成されています。プレカットディスクとして個包装されているため、保管が容易で、使用前に水和させる必要もありません。
詳細はwww.merckmillipore.jp/stratmをご覧ください。 日本語製品サイト: http://www.merckmillipore.com/JP/ja/product/,MM_NF-C112892
メルクミリポアについて
メルクミリポアはドイツに本社を置くメルクのライフサイエンス部門です。バイオテクノロジーや医薬分野での研究・開発・製造向けに革新的で優れた製品とサービスを提供しています。研究開発への投資額はライフサイエンス企業の中でトップ3に入り、科学・工学分野の最先端の研究によって顧客企業の戦略的パートナーとしてライフサイエンスの発展を支えています。米国マサチューセッツ州ビレリカを拠点に、現在66カ国で事業を展開、従業員数は約10,000人です。2014年の売上高は27億ユーロでした。北米では「EMD Millipore」として事業を行っています。
メルクについて
Merck(メルク)はドイツのダルムシュタットに本社を置く世界的な医薬・化学品会社です。ヘルスケア、ライフサイエンス、パフォーマンスマテリアルズの分野において最高水準の品質と高度な技術に基づく革新的な製品を提供しています。6つの事業(メルクセローノ、コンシューマヘルス、アレルゴファーマ、バイオシミラー、メルクミリポア、パフォーマンスマテリアルズ)を展開し、グループ従業員総数は約39,000人、事業展開地域は世界66カ国に上り、2014年売上高は約113億ユーロとなっています。会社としての起源は1668 年まで遡り、以来世界で最も歴史の長い医薬・化学品会社として、革新性・事業の成功・責任ある企業家精神を軸に、患者様のQOLの向上や顧客企業の支援、地球的規模の課題の解決に向け取り組んでいます。またメルクの株式は創業家が全体の70%を保有しています。なおメルクは北米では「EMD」として事業を行っています。
メルク株式会社はメルクの日本法人として1968 年に設立。液晶や顔料などの化学品の研究開発・製造・販売や、試薬・分析機器などバイオサイエンス基礎研究や医薬品製造、創薬にかかわるライフサイエンス関連製品・サービスを手がけています。2011年に日本ミリポア株式会社を吸収合併、2014年にはグループ傘下にAZエレクトロニックマテリアルズを統合。パフォーマンスマテリアルズとライフサイエンスの両分野で高付加価値製品とソリューションを幅広く提供しています。
メルク株式会社についての詳細は、www.merck.co.jp をご覧ください。